亜未と一緒に上原くんにあげるチョコを選んで、それをラッピングしてもらっているとき、ふとガラスケースに飾られている箱入りのトリュフが目に留まった。

サンプルとして飾られているトリュフの箱には、綺麗な金色のリボンがかけてある。

「すいません。これも、いいですか?」
「かしこまりました」

ガラスケースを指差すと、上原くん用のチョコをラッピングしていた店員の女性が笑顔で対応してくれた。

店員さんが用意してくれたトリュフの小箱には、ガラスケースに飾られているものと同じように金色のリボンがかけてある。

「あれ、他にもあげる人いるの?」

亜未が上原くん用のチョコを受け取りながら、あたしが追加で買ったトリュフの小箱を覗きこむ。

「あ、うん」

ドキリとしながら、金色のリボンがかかった小箱を鞄の中に押し込むようにして隠す。

小箱を隠したあたしの動きは明らかに不自然だったと思う。オドオドと視線を泳がせていると、亜未が「あ、お父さん用でしょ?」と、明るく笑いかけてきた。

「うん、そうそう」

本当はお父さん用なんかではなかったけど、誰にあげるつもりか話せば、きっといろいろと詮索される。だから、余計なことは言わずに曖昧に頷いておくことにした。