学校を出たあたしと亜未は、電車に乗ってバレンタインデー用のチョコを探しに行った。
大型のショッピングセンターに行くと、催事場でいろいろなブランドのチョコレートを集めたバレンタインデーフェアをやっていたから、そこでチョコを選ぶことにした。
文化祭のあとから口をきいていなかったのに、チョコを選ぶ頃にはあたしと亜未の間のわだかまりはすっかり溶けていて。しばらく目も合わせていなかったことが不思議なくらいに、自然な会話ができるようになっていた。
「紗幸希もちゃんと選ぶんだよ、涼太の分」
元々バレンタインデーのチョコなんて準備するつもりもなかった。
だけど亜未に強く言われて、ハートとか、丸とか、可愛い形のチョコが6個入ったものを涼太用に選んだ。
「上原くんにもあげようか?」
「心配してくれてたもんね」
涼太にあげるチョコをラッピングしてもらったあと、上原くんにあげるチョコを探した。