「ごめん、紗幸希。文化祭のあと、あたし勢いに任せてひどいこと言った。あたしが涼太にふられたのは紗幸希のせいじゃないのに。あてつけみたいなことして、ほんとにごめん!」
深々と頭をさげたまま、亜未が真剣な声音で謝罪の言葉を口にする。
まさかこんなふうに亜未から謝られるとは思わなくて、心底驚いた。
謝って弁解すべきなのはあたしのほうなのに。
「亜未。そんな、やめてよ。顔あげて」
あたしは亜未の肩に手を置くと、彼女の頭をあげさせた。
「あたしもごめん」
亜未の目をまっすぐに見つめて謝ると、彼女が僅かに首を傾げた。
その仕草が「どうして?」と無言で問いかけてくる。
「あたし、亜未の涼太への想いを本気で応援するつもりでいたんだ。その気持ちに嘘はなかったのに、あたしの中にあったもう一つ別の想いが、結局亜未を傷つけた」