「宮坂、その目は可愛げがねぇぞ」
「ほっといてください」
「あー、まぁ。そんなことより……」
年甲斐もなくけらりと笑う冴島先生に冷たい視線を投げかけていると、彼が不意に真面目な顔つきになった。
それにつられてなんとなく姿勢を正すと、彼があたしをじっと見ながら言った。
「どうするかはお前の自由だけど、受験終わったら卒業だからな。後悔しないようにしろよ?」
後悔────……
それは涼太に対してだろうか。それとも、亜未に対して?
冴島先生の言葉に小さく頷く。
あたしは頭を軽く下げると、今度こそ職員室を後にした。