「そういえばお前、仲直りしたの？」

振り返って首を傾げると、冴島先生が口元を歪めながら笑った。

「何でそんな不思議そうなんだよ。まだ微妙なままなんだろ？　木瀬や武田と」

あえてそこに触れずにここまでやってきたあたしは、冴島先生に指摘されてドキリとした。

後悔しない答えを涼太に返したいと思いながら。亜未ときちんと話したいと思いながら。

ここまでやってきたあたしは、ただ心の中で思うだけで、衝突を恐れて未だに逃げたままだ。

「まだ微妙なままなこと、よく知ってますね」

苦笑いを浮かべると、冴島先生があたしに向かってにやりと笑い返す。

「そりゃぁ、お前。先生だから？」
「言うと思った」

呆れた目で冴島先生を見ると、彼がけらりと楽しげに笑った。