「亜未は、紗幸希が涼太に告白されたことを怒ってるんじゃなくて、紗幸希が亜未に遠慮して何も言ってくれなかったことを怒ってるみたいだったよ。自分のせいで紗幸希が涼太の告白を断ったなら、それが腹立つ、って。友達だと思ってたのは自分だけだったのか、って。そう思ったら、カッとなって紗幸希にひどいこと言っちゃった、って。ちょっと落ち込んでるふうだった」
萌菜から聞かされた話に驚く。まさか、亜未がそんなふうに思っていたなんて。
「だけど亜未は……」
「紗幸希に謝るタイミング、わからないみたい」
片眉を垂れたあたしを見て、萌菜が呆れたようにため息をつく。
「タイミング……」
あたしも結局、亜未に弁解をするタイミングを失ったままだ。
小さく息をつくと、萌菜がまた口を開いた。
「お姉ちゃん、今年結婚したんだ。だから、あたしが頑張って大ちゃんを……とか思ってたんだけど。昨日紗幸希を追いかけてった大ちゃんを見て、あたしはやっぱりまた失恋かなぁなんて思っちゃったんだよね」
「どうして?」
「うーん、なんとなく」
言われている意味がよくわからなくて首を傾げると、萌菜が苦い顔で笑った。