「別れたあと、大ちゃんが一度うちに来たの。だけどお姉ちゃんはそのまま大ちゃんを帰して、結局教師をしてる先輩を選んだ。大ちゃんが帰ったあと、ポストにお姉ちゃん宛に金色のリボンがついた小さな箱がいれてあって。あれ、もしかしたら指輪だったのかな? 哀しそうな目をして帰っていく大ちゃんの後ろ姿を思い出しながら、お姉ちゃんは最低だと思った。あたしだったら、大ちゃんの手を離したりしないのに、って」

あたしが追いかけて渡した金色のリボンがかけられた小箱を、もう要らないと言っていたくせに。冴島先生は、あのあと、後悔しないようにちゃんと行動を起こしてたんだ……

それなのに、あたしは────……

背中を丸めて、あたしの前から立ち去っていった涼太の後ろ姿が脳裏に思い浮かぶ。

涼太のことをぼんやり考えていると、萌菜があたしの顔を覗きこんできた。

「亜未から涼太とのこと聞いたよ。あいつに告白されてから、亜未とも気まずいままなんだって?」

ドキリとして肩を揺らすと、萌菜が薄く笑う。