その笑顔を見た瞬間、あたしの鼓動がわけのわからない感情に突き動かされるようにトクンと。大きな音をひとつ鳴らした。 冴島先生に見送られて学校をあとにしたあたしは、そのあと頭がずっとぼんやりとしたままで。家に着くまでどこをどんなふうに歩いたか。それをよく覚えていない。 家に着いてからも、唇の端を歪めて笑う冴島先生の顔が頭の隅にずっとこびりついたままだった。