「仕事、邪魔してすみません」
そういえば、冴島先生はあたしが声をかけるまでずっとパソコンで何か作業していた。
あたしに数学を教えるよりも、片付けなければいけない仕事があったかもしれない。
気になって謝ると、冴島先生があたしの声を打ち消すようにパタンと勢いよくパソコンを閉じた。
「別に、たいしたことやってなかったからいいよ。俺もそろそろ帰ろうかな。宮坂も気をつけて帰れよ」
冴島先生はそう言うと、身の回りのものを片付け始めた。
「はい、ありがとうございました」
あたしは帰る準備を始めた冴島先生にもう一度お礼を言うと、軽く頭を下げて職員室を出た。