公園を抜けて駅を通りすぎ、お遣いを済ませると、また来た道を引き返す。

家まで近道をしようと、行きも通った公園に一歩足を踏み入れたとき、ふと、寒空の下、一人でベンチに座っていた男の人のことを思い出した。

さすがにもういないだろう。そう思って視線を向けたら、彼はまだそこにいて、横顔を街灯に照らされながらベンチのそばに立っていた。

だけど、そこにいたのは彼一人だけではなかった。

ベンチの前に立った彼の向いには、彼よりも少し背の低い、ショートカットの女性が立っている。

彼と同じように街灯の光に照らされている彼女の横顔は、同性でも思わずはっと息を飲むくらいに綺麗だ。彼女はとても哀しそうな表情で、口を閉ざしたまま俯いていた。

俯いたまま動かない彼女の肩に彼が手をのせると、ゆっくりと顔を上げた彼女が唇を震わせた。

その瞬間、街灯に照らされた彼の横顔に絶望感が漂う。