訝しく思いながら目を細めると、彼がフード付きのコートのポケットから何かを取り出すのが見えた。
彼がポケットから取り出して手の平に載せたのは、プレゼントらしき小さな小箱。それをじっと見下ろしながら、彼がほんの少しだけ口元を緩める。
彼の唇の隙間から、絶え間なく細く白い息が漏れていて、どう見ても寒そうだ。それなのに、街灯に照らされた彼の横顔はとても綺麗で、そして幸せそうだった。
これから誰かと待ち合わせなんだろうか。こんな寒い冬の日に。公園のベンチで。
この街には取り立てて何かあるというわけではない。それでも、駅前に行けばチェーンのコーヒーショップくらいはある。
わざわざ外で冷たい風に吹き晒されなくても、もっと暖かい場所で待てばいいのに。
マフラーの隙間にさらに深く鼻を埋めると、あたしは彼の前を足早に通り過ぎて公園を抜け出た。