隣を歩く冴島先生の横顔をじっと見上げる。

あたしの隣を少し気だるそうに歩く彼の風貌は、うちのクラスの副担任になって半年以上が過ぎてもやっぱりあまり教師らしくない。

そう思いながらじっとその横顔を観察していると、彼が不審そうな目であたしを見下ろしてきた。

「どうかしたか?」
「先生は、何で先生になろうと思ったんですか?」

別に、それほど興味があったわけじゃない。

それなのに、気付くとあたしは冴島先生にそんなことを訊ねていた。

「何で、かぁ。なんとなくって答えたら、どうせ『やっぱりいい加減ですね』って言われんだろ?」

冴島先生が、何だか困ったように眉根を寄せる。

「いい加減な理由で先生になったんですか?」

冷めた目で冴島先生を見上げると、彼がちょっと迷ってからあたしの目を覗き込むようにじっと見てきた。