「よろしくお願いします」

冴島 大輔が真面目な顔つきで深々と頭を下げた。

似合わない。

顔をしかめるあたしの周りで、次々と大きな拍手と歓声が沸き起こる。

「大ちゃん、おかえりっ!」

調子に乗った涼太が、立ち上がってさらに教室を沸かせる。

「あぁ、もう俺はお前らの副担任の先生だから。ちゃんと『先生』って呼べよ」

冴島大輔が涼太に軽く注意する。


「先生」、ね。

クラス全体の歓迎ムードに照れ笑いを浮かべる「冴島先生」を、あたしは一人だけ批判的な目で見ていた。