冴島先生が来てくれたおかげで、涼太と顔を合わせずに済んで助かった。

心配して様子を見に来てくれたことにも、布団越しに触れられた涼太の手の重みにもドキリとしたけれど。どうしてもまだ、顔は合わせられない。

あたしは保健室のベッドの中でしばらく小さく蹲ったあと、長い時間をかけてようやく布団から起き上がった。

「ありがとうございました」

通常よりも長い時間保健室を空けておいてくれた養護教諭にお礼を言って、そのドアを閉める。

それから教室に戻って鞄を持つと、冴島先生に言われたとおり職員室に向かった。

帰るから、その報告を。そう思って職員室を覗いたけれど、そこには柴崎先生も冴島先生もいなかった。

声をかけて帰れ、と。職員室にいる、と。そう言っていたくせに。

困っていると、隣のクラスの担任が声をかけてくれた。