そのまま布団の中に蹲ってじっとしていると、また養護教諭の声が聞こえてきた。
「あら、返事ない? さっきまで起きてるみたいだったのに、どうしたのかしら」
あぁ、もう。余計なことを言わないで。
布団の中でぎゅっと瞼を閉じたあたしの肩が、小さく動く。
「サユ、起きてるんだったら顔見せろよ」
あたしの小さな動きに気付いた涼太が、布団越しに顔を近づけてくる気配がした。
「サユ」
もう一度あたしの名前を呼んだ涼太が、掛け布団に手を掛ける。
このまま引き剥がされる────……
そう思って覚悟を決めたとき、また保健室のドアが開く気配がした。
「あ、冴島先生」
布団越しに聞こえてくる女性の養護教諭の声のトーンが、あからさまに少し上がる。
彼女の声を聞いた涼太が、布団にかけていた手を離した。
ほっと息をついていると、今度は床を擦るような足音がひとつ。ベッドに近づいてくる。