「宮坂、大丈夫か? 疲れてるなら、保健室で休んでくるか?」
拾い集めたシャーペンやペンを握り締めて、少し視線を上げる。
そのとき、一瞬だけあたしのことをじっと見ている亜未と目が合ったような気がした。
背筋がぞくりと粟立ち、微かに唇が震える。
『最低だよ』
亜未に言われた言葉が鼓膜の奥に甦る。筆箱の中身を握り締めたまま、床にしゃがみ込んで立ち上がれなくなる。
気付くとあたしは、小さな声で柴崎先生に訴えていた。
「あの、具合が悪いので保健室に行かせてください」
「あぁ、少し休んできなさい」
先生の言葉に、俯いてゆっくりと立ち上がる。
教室を出るとき、心配そうな顔をした涼太に見られたような気がした。
けれど、それが本当に涼太だったのかどうか、確かめている余裕はなかった。