「違っ────!」
涼太を拒絶しようと口を開きかけたとき、彼が両頬を包む手であたしの顔を少し上に向かせた。
ほんの少し睫毛を伏せた涼太が、あたしに顔を近づけてくる。
次の瞬間に何が起こるか。それがはっきりとわかったあたしは、反射的に、彼の身体を押しのけていた。
「やめて!」
あたしに拒絶された涼太が、とても傷ついた顔をする。哀しそうな涼太の瞳に、胸が痛む。
お願い。そんな顔をしないで……
あたしは唇をぎゅっと噛み締めると、手に持っていたポラロイド写真を涼太の胸に突きつけた。
「これ、いらないから」
涼太は傷ついた目をしてあたしを見つめるだけで、写真を受け取ろうとはしなかった。
そのうちあたしの指先から力が抜けて、写真が涼太の身体を伝って床へと舞い落ちる。