「あんたみたいな奴、全然好きじゃない」

最後にそう言い終えた瞬間、涼太が階段の踊り場の壁にあたしを押し付けてきた。

「いきなり何────……」

背中に感じた衝撃に顔を歪めると、いつになく怖い目をした涼太があたしを睨み下ろしてきた。

「サユ、本気で言ってる?」

問いかけてくる涼太の声は低くくぐもっていて、今まで聞いたなかで一番怖かった。

「あたりまえでしょ」

ほんの少し肩を震わせながら答えると、涼太があたしの顎をつかんで顔を上に向かせた。

涼太の顔が間近にある。あたしを見るその目の光は、強くて真っ直ぐだった。

涼太に顎を押さえつけられているあたしは俯くことができず、かといって彼の目を直視することもできず。戸惑い気味に、横に視線をそらす。