「なぁ、亜未。なんでお前、こんなに冷たい女と2年以上も友達続けてんの?」

あたしに軽くあしらわれた涼太が、ふざけた調子で亜未に泣きつく。

「はは。紗幸希は特に、涼太に冷たいよね」

涼太に話しかけられた亜未の顔に、自然な笑顔が戻る。

彼女達に気付かれないようにほっと安堵のため息をついていると、すぐ傍で小さな笑い声が聞こえた。

「宮坂さんも大変だよね」

振り返ると、同学年の上原(うえはら)聡亮(さとる)が立っている。

「あぁ、上原くん」
「俺も、宮坂さんや涼太と同じクラス。俺達は2年連続だね」

上原くんがそう言って爽やかな笑みを浮かべる。

上原くんが言うように、彼とあたしは去年も同じクラスだった。

すらりと背が高くて細身の彼は、涼太と仲がいい。涼太が言うには、中学のときからの大親友なんだそうだ。

でもあたしとしては、さらさらとした黒髪で爽やかな笑顔と優しい雰囲気を持つ上原くんが、ほぼ金髪で左耳にピアスを開けて、誰にでも愛想がよくて、いつもヘラヘラちゃらちゃらとしている涼太と仲がいいことが不思議で仕方がない。