どうすればいい────?
あたしは、何て答えればいいのよ。
固く引き結んだ唇を痛いくらい強く噛み締めて、視線を床に落とす。
「サユ、何か言えよ」
涼太があたしの両肩をつかんで揺する。
「だから、いつも言ってるでしょ?」
「何を?」
語尾を上げてそう言った涼太の声が、少し怒りを含んでいるような気がした。
「だから、いつも言ってる。あんたみたいな、見た目のチャらい奴は好きじゃない」
床に視線を落としたまま、涼太の顔は見ずにそう言った。
「なんだよ、それ」
涼太の声が低くなる。あたしは彼の顔を見ることができないままに、言葉を続けた。
「受験生だっていうのに、髪の毛は相変わらず金に近い茶色だし。誰にでも結構愛想いいし、あたし達は必死で受験勉強してるのに授業中は寝てるし、ふらふらしてるし」
本気でそんなこと思ってるわけじゃない。涼太のことを悪く思っているわけじゃない。それなのに、自分でも驚くような言葉が、すらすらと口をついて出てきた。