「これが、何?」
差し出された写真を受け取ってじっと見ていると、涼太が指先でつつくように額を掻く。
「それ、やっぱりサユにやるよ」
「どうして?」
「どうしてって。サユに持っててほしいなって思ったから」
「何のために?」
写真から顔をあげると、涼太がじれったそうに眉を寄せた。
「何のためって。サユはこれ、ほんとにいらねぇの?」
「いらないよ」
素っ気無く答えて、涼太のほうに写真をつき返す。
だけど涼太はそれを受け取らず、眉を寄せたままため息を吐いた。
「何で? 俺、知ってるから。サユが去年の文化祭のときに一緒に撮った写真、手帳に入れてること」
涼太の言葉に、ドキリとする。