「ありがとう、一応」
涼太の顔を見ないまま、ふてぶてしい声でお礼を言うと、あたしのほうを向いて一瞬不思議そうに目を瞬かせた彼が、嬉しそうににこっと笑った。
「どういたしましてー」
お礼を言ってからゴミ捨て場にたどり着くまでの間、涼太がにやにや笑いながら何度かあたしの横顔を見てくる。
どうでもいいのに、と思いながらも恥ずかしくて、足元に視線を落としたまま、あまり顔があげられなかった。
ゴミ捨て場には他学年の担任をしている男性教師が立っていて、ゴミの種類をちゃんと分けて袋に入れているかどうか訊ねてきた。
「わかる?」
「こっちが燃えないゴミで、涼太のが燃えるゴミ」
あたしがそう言うと、男性教師が捨てる場所をきっちりと指示してくる。
言われた場所にそれぞれゴミ袋を放り投げると、あたし達は教室へと引き返した。