「びっくりした……」
「サユ。さっきからよたよた歩いているから、後ろから見てるとペンギンみたいで面白かったんだけど。ていうか、そっちも持ってやろうか?」
涼太があたしの右手のゴミ袋にも手を伸ばしてくる。
「これくらい持てる」
あたしが涼太の手からゴミ袋を遠ざけると、彼がケラケラと声をたてて笑った。
「サユの意地っ張り。そういうときは、にっこり笑いながらありがとうって言ったほうがかわいいよ?」
「どうせ、意地っ張りでかわいくないですから」
「まぁ、大丈夫ならいいけど」
涼太はケラケラと笑うと、ゴミ捨て場に向かってゆっくりと歩き出した。
涼太には強がった態度をとってしまったけれど、実際のところ、浴衣姿で重たいゴミ袋を両手に抱えて歩くのは大変だった。