紙皿や割り箸。商品の値段を書いた張り紙。お品書き。内装に使った看板や飾り。

和風喫茶のために時間をかけて準備して、使い終わったそれらは、まとめてゴミ袋に入ると予想以上に重い。

バタバタしていて浴衣から制服に着替えることができずにいたあたしは、結局そのままの学校で片付け作業を行い、ゴミ袋を運んでいくことになった。

浴衣だとスカートのときのように大股で歩けないから、速く歩けず、その分ゴミ袋の重みが両手にのしかかってくる。

階段の手前で袋を下ろすと、重いゴミ袋のせいで赤くなった手のひらにふーっと息を吹きかけて冷やす。

しばらく休憩してから、床に置いたゴミ袋に手を伸ばす。一気に持ち上げようと力を踏ん張ったけれど、重みを感じたのは右手だけで、左手は何もつかめないままに、すかっと空を切った。

「あれ?」

あまりに軽い左手の感触に、疑問符が浮かぶ。

「手伝う」

声が聞こえて顔をあげると、あたしの換わりにゴミ袋を持ち上げた涼太が笑っていた。