文化祭が終わった直後の教室では、まだお祭り気分が完全に抜けきらない。

教室の中で片付けをしているのは一部の生徒だけで、クラスメートの3分の2くらいはスマホで写真を撮り合ったり他のクラスの友達に会いに行ったり。そうでなくても、友達同士で騒いで遊んでいたり。ざわざわとして落ち着きがなかった。

「あとはゴミ捨てるだけ?」

そんな中、片付けをしている一部の生徒のひとりだったあたしは、教室の片隅に無造作に置かれた2つのゴミ袋を指差した。

「うん、それだけかな」

忙しそうにしていた女子のクラス委員が、あたしに反応を返してくれる。

「じゃぁ、あたしゴミ捨て場まで持っていくね」
「ごめんね。助かる」

クラス委員の女子が、申し訳なさそうに顔の前で両手を合わせる。

「いいよ」

あたしは彼女に笑いかけると、両手にひとつずつゴミ袋をつかんで持ち上げた。