「そうそう。感じるよな、運命!」
あたしは頬を赤くしている亜未をちらっと横目で見たあと、頭ひとつ分くらい背の高い涼太を無遠慮に見上げた。
「あたしは別に感じないけどね」
「相変わらず冷たいよなぁ、紗幸希ちゃんは」
涼太がそう言いながら、ふざけた調子であたしの頭に手をのせる。そしてそのまま、ぐしゃぐしゃと髪を撫でてきた。
「やめてくれる?」
頭から涼太の手を振り払って、乱れた髪を整える。
「怖っ。お前せっかく美人なんだから、そういう目付きやめろよ。男が逃げるよ?」
わざとらしく肩を震わせて怯えるような仕草をしてみせた涼太が、バカみたいにケラケラと笑う。
「全く問題ないよ。あたしはあんたみたいなチャラい奴には離れて行ってほしいから」
涼太を見つめて不自然な笑みを浮かべている亜未を気にしながら、あたしはできるだけ冷たい口調でそう言った。