あたし達を外へ送り出そうとしていた萌菜は、一番後ろを歩いていたあたしの背中を押すと教室の奥へと歩いていく冴島先生を気にするように何度もちらちらと振り返る。

「見送りはここまで。あんた達の企画は和風喫茶でしょ? 時間あったら行くから」

萌菜は早口でそう言うと、外に出て行くあたし達をその場に放り出して教室の中へと足早に戻っていった。

「なんだ、あいつ。急によそよそしくなって」

急ぎ足で去って行く萌菜の後ろ姿を見ながら、涼太がぼそりと呟く。

「まぁ、いいんじゃねぇの。次行こう、次」

上原くんが笑いながら涼太を促す。

前を歩く涼太と亜未の背中を追いながら、なんとなく後ろを振り返る。

そのとき、あたしの視界に映ったのは冴島先生の腕をつかんで隣に並ぶ萌菜の姿だった。

二人の向いでは、萌菜のクラスメートの女子がポラロイドカメラを構えていて。冴島先生と二人で写真を撮ってもらった萌菜は、口元を綻ばせながら嬉しそうに笑っていた。