萌菜の言葉に、あたしは何とか頑張って口角を引き上げる。無理やり笑ったせいで、頬の筋肉が引き攣りそうだった。

「すぐできるから、ちょっと待ってね」

写真を撮り終えた萌菜が、にたりと笑う。

あたしは意味ありげに笑う彼女と目を合わせていられなくて、挙動不審に左右に視線を動かしたあと、最終的に俯いた。

「亜未は上原と撮る?」

まだカメラを持っている萌菜が、亜未に訊ねる。

「あたしも、涼太と撮りたい!」

だけど亜未は萌菜の提案をきっぱり拒絶すると、涼太の腕を引っ張って、あたしから引き離した。

亜未のきっぱりとした態度にちょっと驚いて顔をあげると、萌菜がカメラを構えながら苦く笑うのが見えた。

「上原、人気ないね。かわいそう。爽やかさでは涼太に負けてないのに」
「うるさいな」

萌菜によくわからないフォローを入れられて、上原くんも苦く笑う。