「あんた達、今年も一緒に回ってるんだ?」

そう言って笑う女子生徒は、萌菜だった。

「なんだ、里見の友達?」

涼太と亜未を勧誘していた男子生徒が、萌菜を振り返る。

「うん、そう」

萌菜はさっきまで涼太と亜未を誘っていた彼を横へ押しやると、あたし達の前に進み出てきた。

そして、手元に持っていたコルクボードを顔の前に持ち上げてにっこりと笑う。

「あたし達のクラス、バルーンアートと写真館をやってるの。展示教室すぐそこだから、寄っていってよ。撮った写真は時間をかけずにその場ですぐに渡せちゃうよ」

萌菜が持つコルクボードには、インスタントのポロライドカメラで撮られた見本写真が、細いピンでいくつも留められていた。

「萌菜のクラスなら行ってみるか」
「ぜひ。案内するよ」

萌菜はコルクボードを小脇に抱えると、数メートル先にある教室まであたし達を誘導してくれた。