「友達だからっていうか、単純に涼太に興味がないからだよ」
「そうなんだ」
上原くんが、涼太からあたしに視線を流す。横目でちらっと見上げると、上原くんと目が合った。
「嘘つき」と、彼の目がそう訴えかけてくるのがわかる。けれど上原くんは無言で訴えかけてくるだけで、その言葉を決して口には出さなかった。
直接言葉にされても困るくせに、何も言われないとそれはそれで居心地が悪い。
あたしは上原くんから視線をそらすと、足元に視線を落とした。
俯きながら歩いていると、不意に隣を歩く上原くんの足が止まる。
何事かと思って顔をあげると、少し手前で同じように涼太と亜未が足を止めていた。
涼太と亜未が、同学年の他のクラスの男子に引き止められている。
どうやら、彼のクラス主催の企画に参加しないかと勧誘されているらしい。
上原くんと顔を見合わせてから涼太と亜未に数歩近づくと、勧誘している男子生徒の後ろから女子生徒が一人姿を現した。
彼女が姿を現した瞬間、彼女もあたし達も同時に「あっ」と小さな声をあげる。