高校3年生の春。

文系での大学受験を決めていたあたしは、同じく文系で大学受験を考えている武田亜未と同じクラスになった。

亜未とは1年で同じクラスになったときから仲がいい。なんの縁か亜未とは去年も同じクラスで、これで彼女とは3年連続同じクラスだ。

2年のときに亜未と共に仲が良かった里見萌菜とは、クラスが分かれた。

「紗幸希と3年連続同じかぁ。なんか運命感じるね!」

新しい教室に向かって歩くあたしの横。亜未のテンションがやけに高い。

運命までは感じないけど、あたしは「そうだね」と適当に相槌を打った。

「紗幸希、クラス分け隅から隅まで全部見た?あたし達ふたりだけじゃなくって、り────」
「俺も運命感じてたっ! 3年連続同じクラス」

亜未の声を遮るように、後ろからうるさい声がした。

振り返ると、3年生になったにも関わらず、ほとんど金色に近い茶髪のままの木瀬涼太が、うざいくらいの満面の笑みで立っていた。

「あ、涼太だ。おはよう。また同じクラスだね」

涼太を前にした亜未の頬が、ほんのりと赤く染まる。