「去年は萌菜もいたけどね」

亜未がそう言うと、上原くんが笑顔のままに頷いた。

「回るのはいいけど……亜未、浴衣から制服に着替える?」

自分と亜未の格好を順番に見てから首を傾げると、涼太が不満気に頬を膨らませた。

「えー、せっかく着たのに勿体無いじゃん」
「だけど、動きにくいし────」
「大丈夫、そのまま行こう」

涼太はにこっと笑うと、あたしの手を引っ張って歩き始めた。

「あ、ちょっと」

自然に繋がれた涼太の手にドキリとする。その手に導かれるように足が前に動き出した瞬間、亜未が表情を固く強張らせているのに気が付いた。

手を繋いだまま行こうとする涼太とあたしを、亜未が突き刺すような眼差しでじっと見てくる。