1時間程の店番を終えて和風喫茶を行っている教室を出ると、涼太が笑顔であたしを待ち構えていた。

「サユ、このあと一緒に文化祭回ろう」

涼太に声をかけられたとき、一緒に店番を終えた亜未が外に出てきた。

「あたし、亜未と回る約束してるから」

控えめな声ではあったけれど、きちんと断りと入れる。それでも涼太は、あたしに向けた笑顔を崩さなかった。

「大丈夫。上原もいるし、4人で回ればいいから」
「どうかしたの?」

あたしと涼太が話していると、亜未が近づいてくる。

「いや、涼太が一緒に回ろうって。あたし達とそれから上原くんと、4人で」

そのことを伝えると、亜未の目が嬉しそうに輝く。

あたし達が話をしていると、どこに行っていたのか上原くんが廊下の向こうからやってきた。

「そういえば、去年もこのメンバーで文化祭回ったよな」

上原くんがあたし達3人の顔を見て笑う。