「何よ、それ」
その自信がどこから湧き出てきているのかはよくわからない。
けれど涼太のその眼差しを真っ直ぐにずっと見返し続けることができなくて、あたしは頭に載せられた彼の手を振り払いながら顔を背けた。
「涼太、あたしの髪もやってよ。サユほどは長くないけど」
あたしが涼太の手を払いのけた瞬間、黙って話を聞いていた亜未が身を乗り出してきた。
涼太は鎖骨辺りまで伸ばしてゆるく巻いている亜未の髪を直接触ることはなく、目で見て雰囲気を確かめる。
それから人懐っこい顔でにこっと笑うと「いいよ」と答えた。
「どんな感じがいいかとか、そういうのがあったらまた教えて」
「うん」
涼太の言葉に、亜未が嬉しそうに笑い返す。