「何すんの?」

斜め後ろを見上げると、あたしの手をつかんだ涼太が立っていた。

「サユの髪、長くて綺麗だからいろいろできんな」

涼太が空いているほうの手で、あたしの髪を束にして何度か掬う。

「いろいろって何よ」

つかまれた手を振り払いながら冷たい視線を向けると、涼太が束にして掬っていたあたしの髪を指先で梳くようにはらはらと肩に落とした。

「浴衣のときのアレンジ。文化祭の日、俺がサユの髪やってやるよ」

涼太はあたしの髪を何度も手で触って確かめたあと、にこっと笑った。

「つまり、あたしはあんたの実験台になるってこと?」
「実験台とか言うなよ」

ほんの少し眉を寄せて見上げると、涼太が唇を尖らせる。

「だってそうでしょ」
「言っとくけど俺、絶対サユのこと可愛くできるから」

涼太はあたしの頭を上からぐしゃりと撫でると、自信たっぷりな目をして言った。