「じゃぁ、この内容に決定でいいですか?」
ざわついた教室に、クラス委員の男子の声が響く。
「反対意見がなければ、これで決定します」
クラスメート達はみんなそれぞれに近くの席の者同士で話をしているくせに、クラス委員の呼びかけには反応を示さない。
それを合意のサインだと捉えたらしいクラス委員の彼は、手にしていた白いチョークを置いた。
彼の隣で懸命にメモを取っていた女子のクラス委員も、筆箱にシャーペンをしまって、ぱたりとノートを閉じる。
「ではこれで、文化祭の出し物についての話し合いを終わります」
男子のクラス委員が場を締めて、二人のクラス委員が教壇を降りる。
彼らと入れ替わるようにして、担任の柴崎先生が教壇に登った。
「みんな受験勉強で忙しいと思うが、文化祭は高校生活最後のイベントだからしっかり楽しんでください」
前に立った柴崎先生が、教室全体を見渡しながら話す。