あたしが近道として通り抜ける公園は、昼間はいつも親子連れで賑わっている。けれど、夜にここを訪れる人はあまりいない。
変な人だったらいやだな。
得体の知れない人影が警戒心を煽り、鞄をつかむ手の指先が緊張で冷たくなる。
一度立ち止まって深呼吸すると、鞄からスマホを取り出して強く握り締めた。
もし何かあればすぐに通報できるように。その準備だけは整えて、人影が立つ公園の入り口へと一歩ずつ近付く。それにつれて、風に流されてきた煙草の煙の匂いが強くなる。人影のシルエットも、少しずつはっきりと見えてくる。
公園の入り口に立っているのは、白っぽいシャツを着た細身の男で、ズボンのポケットに片手を突っ込みながら、こちらに背を向けるようにして煙草を吸っていた。
髪型や後ろ姿から判断する限り、なんとなく若そうだ。