「そうなったらブシコとお別れでしょ? もうずっと会えないかもしれないしさ。だからさ、思い出作っとこうよ。ううん、ブシコとの思い出を作りたいんだよ」

 武士の格好をした女の子を近所に見られたくなくて、極力、ブシが外に出るのを控えていた。
 連れていくとしたら近くのスーパー、コンビニ、頑張ってもコンビニより少しだけ先にあるショッピングセンター。本当にそれくらい。

 確かにこれでは思い出にもなりはしない。ブシコに絵日記の宿題があっても書く内容はいつも同じ。夏休みの思い出というテーマの作文なんてあろうものなら白紙で提出しなければならない。