手首と甲の間くらいにミミズばれが見える。目視してしまったからか、今はそこがジンジンと脈打っている。
 紛れもなく先程、ブシに叩かれたところだ。

 ブシは普段あまり感情を表に出さない。ましてや、暴力を振るうだなんて想像さえできなかった。

 あのピンクのリュックに一体何が隠されているのか。刃先を向けた時のブシの顔。ただ事ではない獣のような眼光。先程は怒りに任せて何をするのかと言い返したものの、今となっては背筋が凍えた。