赤丸の日。今日、彼に渡されたこの大学ノートに
なにか意味はあるのだろうか。なんて少しの期待と緊張と不安。
開きたいような、開きたくないような。いったいなにが書かれているのか全く見当のつかないそれ。
彼の日記だろうか?はたまた小遣い帳?この歳にもなって小遣い帳はないだろうと思いつつもいくら唸って考えてもそれ以外閃くものがない。
そもそも日記であろうと小遣い帳であろうと私に託すはずがないのだけれど。
じーっと睨めっこをすること数分。読まないという選択肢もあったけれど、彼がわざわざ渡してきたものを放置するのは失礼だなという結論に至った。
紅茶の入ったマグカップを口元へ運び、ごくりとひと口喉を潤す。テーブルにカップを戻して大学ノートに触れた。
ゆっくりと、表紙を捲れば見慣れた少し右肩上がりの癖のある彼の文字になんだか少し安心してその羅列を追った。