ーーだから、予想もしていなかった。
【まず、初めに言っておこうと思います。
この物語はある女の子に恋をした男の日常を恥ずかしげもなくつらつらと綴ったものです。
これといって特別なハプニングが起きるわけでもなく、
病が見つかり最後に好きな人が亡くなり、悲しみに暮れるわけでもなければ、
主人公の男が少女漫画のヒーローのような甘い台詞を吐く素敵なイケメンというわけでも御座いません。悪しからず。
これを書いているのが僕であることをお忘れなくお願いします。】
突然渡されたブルーの大学ノート。表紙には黄色い正方形の付箋が貼られていてそれに書かれた謎の説明文。
説明文を読み終えて、また最初から読み直す。私の読解力が欠落しているのか、はたまた彼の文章の脈略の無さにか、それともあまりにも予期せぬ出来事のためか。
意味が理解できず、なんどもふりだしに戻り見慣れた彼の文字を視線でなぞった。