その文章を読んで私は彼に指示されるがまま、彼に言われた通りに大学ノートに綴られた文字を読んでみる。






さらり、さらりとページをめくって最終ページまで読み終えたあと、私の胸はじんわりと熱くなった。




「覚えててくれたんだね」




再度カレンダーに視線を向けた。今日は赤丸で印をつけた日。



立ち上がり電話の横に置いてあるペン立ての中から赤ペンを手にし再び大学ノートの前に座りなおした。



1ページめに戻ってひと文字、ひと文字を大切に噛みしめるように指定された文字を赤ペンで囲っていく。



最終ページまで丸を付け終えて、思わず音を溢す。




「……こちらこそ、ありがとう」




リビングに独白が溶けていく。