「付箋……?」




ちらりと見えたそれに表紙に貼ってあった付箋を思い出す。一瞬見えた黄色は表紙に貼ってあったものと同じ色をしていた。



新しい紅茶を淹れようと手にしたマグカップをテーブルに戻し、再度大学ノートをパラパラとめくってみる。



彼の先程の恥ずかしい赤裸々なラブレターが終わって、数ページめくったところに貼られた、表紙にあったものと同じ黄色い正方形の付箋。



そこにはまた、彼のちょっと癖のある右肩上がりの文字が羅列していた。




【最後まで読んでくれましたか?


そもそも、君はこの付箋を見つけてくれたかな?


僕の書いたものがあまりにも取り止めなさすぎて、つまらなくて文学部のエースだった君は途中で読むのをやめてしまって、この付箋にも気づかないままノートを閉じているかもしれないね。


それはそれで仕方がないと思っています。


読んでほしいならちゃんと伝えろよってかんじだよね。


でも、気づかなければそれはそれでいいと思って書いたので僕はとくに気にしません。


実はこの物語はまだ完結していません。というかこれからも完結はしません。なぜなら、君と僕の思い出はまだまだこれからたくさん増えていくから。



まだ、序章にすぎないのです。


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全てはこれを伝えるための前置き的なものです。】