◇ ◇ ◇



「えー、それで手隠しちゃったの?」



ベンチに横向きで腰掛けて、背もたれに頭を乗せて話を聞いていた恋人は、ガバッと上体を起こした。

彼女の非難轟々の視線にいたたまれなくなって、今度は僕が背もたれに顔を埋める。


まぶたの裏には、あの日見た満天の星。



「うん…」

「和樹きっと今頃、罪悪感でいっぱいだよ」

「やっぱ、そう思う?」

「そりゃそうでしょ。事情知ってるからってジロジロ見ちゃうなんて、て思ってるよ絶対」

「でも実際見られて嬉しいもんでもないんだけど、」

「じゃあサークルなんて行かない方が良かったんじゃない?そのうち皆んなにバレるよ」



彼女の正論に、だよね、と相槌を打つことしか出来ないちっぽけな僕は。

悔しくても握ることの出来ない拳を、手を繋ぎたくても指を絡められない指先を、空の青にかざした。