半年間、真っ暗闇の地獄のなかで、一筋の光と助けだけを求めていた。けれど期待していたものは、なにひとつ私のところにはこなかった。
生き耐える強さも、死ぬ勇気もなくて、毎日息切れして、限界だったよね。
わかる。わかるよ。
どうして死んだあとも、自分を助けてくれるのは、自分だけなんだろう?
ううん、違う。そうじゃない。
痛いと、苦しいと感じる心があるのに、人間って基本ひとりぼっちなんだ。
ずっと、いつも、いつだって。
みんな平等に心があるからこそ、理解しあえるはずの辛さなのに、弱いものいじめはなくならない。
細かな心情まで悟ることは難しい。だけど、心の痛みに寄り添うことは、誰にでもできると思うのにも関わらず。
暴言を吐かれたら、悲しいよね。殴られたら、痛いよね。物を隠されたら、焦るよね。苦しく、なるよね。
孤独感に、死にたくなるんだよね。
家には家族がいるかもしれない。だけど、一歩外に出れば、学校という狭い空間に立ち入れば、そこに味方なんていない。
少なくとも、友だちに恵まれなかった私はそうだった。
家に自分を愛してくれる家族がいたって、外の世界の恐怖を考えると、生きる源なんて尽きてしまった。
目の前にいる憔悴しきった哀れな自分と、死ぬことを選択した自分。そして、対面している両者を傍観してしまう自分がいる。
きみは、いずれ、私になる。死ぬ運命をたどる。あと一ヶ月半もすれば、自宅マンションから身を投げる。
かける言葉は、もう見つからない。
「……助けてくれてありがとう」
青白い顔。彼女が泣きながらすこしだけ微笑む。
立ち上がってペコリと頭を下げた。
そして私の後ろの廊下にいる理香子ちゃんにも頭を下げて彼女は帰って行った。
「もしかして、今のって……」
「うん。私」
「じゃあ美樹は……?」
「いなかった」
私のなかに美樹ちゃんがいなかった以上、ほかに手がかりなんてない。
「……ごめんね」
「なんでゆりちゃんが謝るの?」
「だって私が美樹ちゃんの身体にいなかったら、美樹ちゃんは普通に今もこの身体のなかにいて、こんなところにも来なくて済んだでしょ?」
私の存在が、美樹ちゃんにとっても、理香子ちゃんにとっても邪魔になっている。それは間違いない。
「でも……、」
「……?」
「ゆりちゃんを救えた。助けられた。……でしょ?」
思いもよらない台詞に目を見開く。
どうしてそんな風に考えてくれるの?どうしてそんなに優しいの?
「ゆりちゃんが美樹の身体のなかにいることには絶対意味があるはず」
「…………」