「そうだ!どうだった?部活」
「いつも通りかな。あ、あいつ今日もやってたわ」
「え!また莵原君?」
ぴょんぴょんと飛び跳ねるような彼女の話し方は俺の知り合い全員からわざとらしいと言われても仕方ないほどの可愛らしさで、愛美の前であざといだとか、ぶりっ子だという陰口を言った人間を醜い嫉妬に身を任せる野蛮な人間に代えてしまうほど、生まれついての仕草だった。
「莵原だよ。あいつランニングサボってんの顧問にバレてマジギレされてたんだけど、さぼってた理由聞かれて、なんて言ったと思う?」
「何て言ったの?」
「あいつ。今回こそ人生最大の一大事なんです!とか言っててさ、結局その一点張りで許されてやんの」
「莵原君って本当自由な人だよね」笑う愛美にも
「な、俺には真似できないわ」
俺たちは、夕日が沈む下り坂をゆっくりと降りていった。