改札に向かう階段を目指し真っすぐと歩を進める山本を、俺を乗せた電車はあっという間に追い越した。
俺は動揺していた。
それは、二度と会うことが無いと思っていた山本が俺の日常に突然現れたからなのか。
それとも、無計画なデートだけでは嫌いにはならないと山本が言ったからなのかは定かではなかった。
それに、アイツ。
あんなに身長低かったっけ?
記憶の中の一番新しい山本は小学校の卒業アルバムの写真だったから、違っているのは当たり前だ。
俺も坊主で泥だらけの小さいクソガキだったわけだし。
ホームを颯爽と歩く彼女の後ろ姿を思い出し、過去の自分がしてきた言動や行動をふと思い出して頭を抱えたくなった。
車内アナウンスの独特の声で俺は我に返った。
これから愛美とのデートなのだ。
昔のことじゃなくてこれからのことを考えよう。