さっきの男の声だった。 顔を上げようとした途端、俺はオデコと頭の境界線を大きな手のひらで捕まれた。 「お前を戻してやっても良いと言ってるんだ」 俺は息を飲んだ。 目だけを動かして男の顔を見ようにも顔の造作を見ることは出来なかった。 頭にかかる力は、決して強くはないのだがその場から動くことも出来ない。 分かったのはこの人がサングラスをかけた男だということだけだった。 「えっと、誰…ですか?」