「あら、無視?」
かすみに言い返さずにいると、まだ煽り足りないのか驚いたような声で言った。
「あれから決めたんだよ、お前にこういう話絶対しねぇって」
するとかすみから意外な言葉が返ってきた。
「あの時はごめんって。私だってまさか先輩が元カレだって知らなくて。」
あの頃は全然悪びれる様子なんてこれっぽっちも思っていなかったのに、急に素直に謝ったりして。
かすみも高校生になって少しは大人になったんだな。
なんて拍子抜けしながらも、かすみに合わせて優しい口調に変えて、
「普通さ、友達の恋愛事情は他の友達には言わないもんなの」と諭してみたりした。
するとかすみは俺が許したと勘違いしたのか子供っぽい口調に戻って今度は
「だって先輩も私の友達だったんだもん」
と言い訳を始めた。
「そりゃ仕方ねぇな。ってなるわけないだろ」
強めに釘を刺してから、
窓の外を見てかすみを放置してみたら。