「で?今日は噂の彼女とどこ行くのさ?」
相変わらずふざけた口調で聞いてくる。
「言うかよ、かすみには一生教えねぇ。」
俺はかすみにそう言うと、
そそくさと電車に乗り込んだ。
昇降口の反対側のドアに寄りかかると、かすみが小声で話し始めた。
「ねぇ、もしかしてだけどデートプラン考えてないの?」
「デートプラン?」
めんどくせぇ。
考えてたとしてもお前に言うかっつーの。
と口から出かかった本心を飲み込んだ。
こいつの欠点はすぐに人のことに首を突っ込みたがるところだ。
しかし、なぜそこまでお節介なのかは未だに謎だ。
「その顔は、やっぱり考えてないんだ…」
俺が無視すると、呆れた顔でやれやれと首を振りながらかすみは言った。
「部活になると全力なのにね。デートでは力抜いてやんの。彼女、かわいそー」
そこまで言うか普通。
俺はかすみの彼氏ではないし。愛美はいつものデートで十分楽しいんだ。
かすみの言うことに一々耳を貸すことはない。